井村加代子さん [三浦絞り]
井村さんは三浦絞りの伝統工芸士。もうお孫さんもおられるというのに、今も絞りの問屋さんで元気に仕事をしています。三浦絞り、別名豊後絞りは、豊後の侍医・三浦玄忠の妻より有松に伝えられ、その後有松鳴海の女性たちが親から子へ、子から孫へと脈々と伝えてきた絞りの技法。井村さんもその流れを担う重要なお一人です。
写真の反物は井村さんが絞った浴衣。斜め格子に空けた部分を除いて“疋田三浦絞り”がびっしりと綺麗に施された、大変貴重な総絞りの浴衣です。
こんなに素晴らしい浴衣に袖を通す幸運な人は、一体誰になるのでしょうか。
「昔はね、みんなで絞っていたから。子供を遊ばせてね。縁側で日向ぼっこしながら友達と並んで括ったよ。ずっとおしゃべりしながらね。最初に練習したのは手ぬぐい。大人や隣のお姉さんがやってるのを見よう見まねで括ったの」
括りの仕事は、絞り染めのキモ。つまり有松鳴海絞りのキモ。農閑期や雨の日に、夜に、こつこつ、こつこつ。女性たちがずっと昔から、内職で支えてきたものなのです。

